- Part7最後まで解けなかった…
- また塗り絵で終わってしまった…
TOEICのリーディングパートで、こんな経験がある人は決して少なくありません。実際、私自身もじっくり読みすぎるクセが抜けず、何度も時間ぎりぎりになったり、最後までたどり着けなかったことがあります。
ひどいときには、試験官の「やめてください」という声でマークすらできず、空欄のまま提出してしまったこともありました。
でもあるとき、「全部きちんと読まなくても、概要をつかめれば解ける問題が多い」と気づいてから、状況が少しずつ変わりました。もちろん、ざっくり読むだけでは正答できない難問もありますが、解く順番や読む姿勢を少し変えるだけで、全体の時間配分に余裕が生まれるようになります。
実際、リーディングで時間切れになる受験者は全体の8割以上とも言われています。
これは「あなたの読み方が遅いから」ではなく、戦略と慣れの問題であることがほとんどです。
この記事では、TOEICリーディングで時間が足りなくなる原因別に、それぞれに合わせた具体的なトレーニング法と時間管理のコツをご紹介します。
< 筆者について>

この記事を書いたぬこです。
留学経験なし、独学でTOEIC870を取り、外資系企業で日々英語を使いエンジニアとして働いています。スピーキングはオンライン英会話を活用して習得。より多くの日本人が英語に対する苦手意識を無くせるように実践的な英語学習法を発信しています。
TOEICで時間が足りなくなる4つの原因と対策法
TOEICリーディングで時間が足りないと感じる原因は、人によってさまざまです。
しかし、よく見てみると多くの人が以下のような共通パターンにはまっています。
- Part5・6で詰まり、前半に時間をかけすぎる
- Part7の長文読解でペースダウン
- 一文ずつ日本語訳しながら読んでいる
- 練習時に時間を計っていない
【原因1】Part5・6で詰まり、前半に時間をかけすぎる
文法や語彙の穴埋め問題(Part5・6)で考え込みすぎて、リーディング本番のPart7に入る前から時間を大きくロスしてしまうケースは非常に多いです。
このパートにかけられる時間は、1問あたりおよそ20秒。じっくり考えている余裕はありません。
ここは「瞬発力」でサクサク進める意識を持ち、迷った問題は深追いしすぎない判断力も求められます。
【対策】Part5・6の解答スピードを上げる方法
Part5・6は、知識の正確さだけでなく「いかに速く判断できるか」が問われるパートです。
問題形式がシンプルな分、パターン認識と瞬発力でどれだけテンポよく進められるかがカギになります。
特に効果的なのは、実戦形式の問題を制限時間内で解く練習です。
たとえばPart5であれば、「15問を5分以内」などストップウォッチを使って時間を測ることで、本番に近い集中力とスピード感を鍛えることができます。
また、文法・語彙の頻出パターンを効率よく習得するには、『TOEICでる1000問』のような反復型トレーニング教材が非常に効果的です。何度も繰り返すことで、「読んだ瞬間に選べる」力が身についていきます。
詳しい使い方や時短トレーニングの進め方は、こちらの記事|でる1000の効果的な使い方をご覧ください。
【原因2】Part7の長文読解でペースダウン
長文になると「全部読まなきゃ」と思いがちですが、それでは到底間に合いません。英文を読むのが超はやい人でもない限り、全文を最初から丁寧に読むスタイルは非効率です。
まずは設問と選択肢から先に読むなど、読み方の順番を工夫することが時間短縮のカギになります。
【対策】Part7を最後まで読み切るためのコツ
Part7の長文問題は、文章量が多い上に設問数も多く、「読み始めたら時間がなくなっていた」という最大の落とし穴になりがちです。


筆者も長文をじっくり読んでしまう癖があり、気づけば同じ文を何度も読み返して、1問にめちゃくちゃ時間をかけてしまうこともありました。
ここで大切なのは、「全部を丁寧に読もうとしない」という意識です。
英文を読むスピードが非常に速い人なら別ですが、そうでない場合は、設問と選択肢を先に読んでから本文に入る“逆読み”が効果的です。
「どの情報を探せばいいのか」を事前に把握しておくことで、読むべき場所の見当がつくため、無駄読みを防げます。
また、本文を読むときも一文ずつ丁寧に理解するのではなく、「段落の要点」や「登場人物の動き」など全体の流れをつかむ意識が大切です。
これがいわゆるスキミング(要点読み)で、TOEICのような試験では必須のスキルです。
Part7対策には、「設問先読み+スキミング練習」のセットが基本です。
【原因3】一文ずつ日本語訳しながら読んでいる
リーディング中、頭の中で一文一文を丁寧に日本語に訳しているという人は少なくありません。私も初めはそうでした。
もちろん、「日本語に直さないと理解できない」という感覚は自然なことですし、完全に悪いわけではありません。
すべての英文を完璧に訳すのではなく、「設問に答えるために必要な情報だけをつかむ」読み方に変えることで、読むスピードは格段にアップします。
【対策】“全部訳す”をやめて、要点だけ読む練習を
リーディング中に「この英文、ちゃんと訳せているかな?」と不安になって、一文ずつ丁寧に日本語に直してしまうという人は多いです。
英語が苦手だったり、読み慣れていなかったりすると、“訳さないと理解できない”という感覚になるのは自然なことです。
ただし、TOEICのような時間制限のある試験では、「正確な全文訳」は必ずしも必要ではありません。
大切なのは、設問に答えるために必要な情報だけをつかむこと。すべての文を訳そうとするのではなく、「誰が」「何をした」「何について書かれているか」など、要点を絞って読めるようにするだけで、読むスピードは大きく変わります。
この力を伸ばすには、次のような練習法がおすすめです。
① 最初から日本語に訳さず、英語のまま「誰が何をしたか」だけ意識して読む
→ 例)”The manager approved the new policy.” → 「マネージャーが承認した」と要点だけ理解して進む練習
② TOEICのPart7の短めの文書(広告・Eメールなど)を使い、設問の答えに関係する箇所だけ読む訓練をする
→ 「設問に答える情報だけあればいい」と割り切ることで、読むべき範囲が自然と絞れます
慣れるまでは不安もあるかもしれませんが、「訳さなくても読める」感覚がつかめるようになると、リーディングのスピードも理解力も一気に上がっていきます。
【原因4】練習時に時間を計っていない



TOEICって、ほんと時間が足りないんだよなぁ…
そう感じている人ほど、実は普段の練習で時間を意識せずに解いていることが多いものです。
時間配分の感覚は、センスではなくトレーニングで身につけられるスキルです。
1回1回の演習でストップウォッチを使ったり、「Part5は何分かかった?」「Part7で迷ったのはどこ?」と記録を取ったりするだけで、自分のペースを客観的に見直せるようになります。
感覚に頼るのではなく、数字で“時間の使い方”を体に覚えさせることが、解き切る力につながっていきます。
【対策】時間を記録して改善サイクルを作る
対策の第一歩は、毎回の演習に時間計測を取り入れることです。
Part5なら10分、Part7なら57分など、本番に近い制限時間を意識しながら解くことで、自然と時間感覚が養われます。
また、模試や問題演習のあとには次のようなシンプルな記録をつけましょう。
- 所要時間(パートごと)
- 詰まった設問・読み返した箇所
- 時間をかけすぎた原因のメモ(例:「何度も読み返した」など)
この「時間の見える化→振り返り→改善」を繰り返すことで、時間配分のコントロール力が確実に上がっていきます。
TOEIC模試を使った時間配分力の鍛え方
時間配分力を本番レベルに近づけるには、模試形式での練習が最も効果的です。
1問ずつの演習や問題集だけでは見えてこない、「集中力の持続」「読み疲れ」「時間配分の偏り」といった弱点が、模試を通して初めて浮き彫りになります。
模試を使ったトレーニングでは、以下の2ステップを意識しましょう。
① 本番と同じ制限時間で解く
まずは、本番と同じ条件で模試を解くことから始めましょう。
リーディングは全75分。この制限時間を厳守して解くのが基本です。
途中で止めたり、時間を延ばしたりせずに、本番と同じ緊張感の中で解き切る練習を繰り返すことで、集中力の持続や時間感覚が少しずつ養われていきます。
「あと5分ほしい…」という感覚も、本番と同じだからこそ得られる学びの材料になります。
② パートごとに所要時間を記録・分析する
Part5・6・7それぞれに何分かかったかを毎回記録しましょう。
たとえば、「Part5で12分かかった」「Part7は読み返しすぎて最後に時間が足りなかった」など、具体的な数字で振り返ることが、配分ミスの修正につながります。
以下は、模試を1回解いたあとの記録例です。
パート | 所要時間 | 理想時間との差 | 解答状況 | 気づき・反省点 |
---|---|---|---|---|
Part5 | 12分 | +2分 | 全問解答 | 文法で迷いすぎた。 直感で解く練習が必要。 |
Part6 | 8分 | ±0分 | 全問解答 | 読むスピード重視で進めたが 理解度に不安あり。 |
Part7 | 55分 | -2分 | 最後の1セット(5問)未着手 | 読み返しすぎて時間が足りなかった。 設問先読みを徹底すべき。 |
設問ごとに「読むのに時間がかかったのか」「選択肢で迷ったのか」「先に読むべきだったか」を振り返り、自分がどこで時間を使いすぎているのかを明確にすることが大切です。
参考:パート別の理想的な時間配分(リーディング)
以下は、TOEICリーディングセクションにおけるパート別の時間配分の目安です。
実際の模試や本番でこの時間を意識しておくことで、どこで時間をかけすぎているか、どこで取り戻すべきかが見えやすくなります。
Part | 問題数 | 理想時間 |
---|---|---|
Part5 | 30問 | 10分 |
Part6 | 16問 | 8分 |
Part7 | 54問 | 57分 |
この配分はあくまで目安ですが、全体で75分以内に解き切るためにはかなりシビアな設定でもあります。
時間の使い方を見直す際の参考として、模試ごとに「実際にかかった時間」と比較してみてください。
まとめ:TOEICで時間が足りないのは戦略で必ず改善できる
TOEICリーディングで時間が足りなくなるのは、能力の問題ではなく「読み方」と「時間の使い方」の問題です。
どんなに英語力がある人でも、戦略がなければ最後まで解き切るのは難しく、逆に時間配分を意識するだけでスコアが伸びる人も多くいます。
大切なのは、次の3ステップです。
- 自分の弱点(時間ロスの原因)を知る
- それに合った練習法を取り入れる
- 模試→記録→改善を繰り返す
このサイクルを回すことで、焦らず、最後の1問までたどり着けるようになります。
そして、時間配分の見直しだけでなく、スコア全体を底上げしたい方にはこちらも必見です。
このロードマップは、忙しい社会人でもマネするだけで800点を目指せるように作られています。
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TOEICに本気で挑みたい方は、ぜひご活用ください。
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