TOEICを初めて受けた人や、何度か挑戦しても300点台から抜け出せない人の多くは、文法の基礎が固まっていないことが原因です。
「単語はなんとなく分かるのに文章全体の意味がつかめない」「Part5の短文穴埋めがほぼ運頼み」という状態では、TOEICの対策をしてもスコアは伸びにくいです。
本記事では、TOEIC初心者が300点台から抜け出すために必要な文法学習のステップと、私が使用したことのある厳選おすすめ教材、その使い方を紹介します。
基礎から学び直せば、確実に400点台・500点台へとステップアップできます。

TOEIC300点台の特徴と課題
英文法や単語の基礎が抜けている
TOEICで300点台の人は、英語の基礎がところどころ抜けてしまっていることが多いです。たとえば「be動詞(is, am, are)」「一般動詞(play, eat, knowなど)」「助動詞(can, willなど)」といった基本ルールがあやふやだったりします。
単語も、高校までに習ったはずのものが思い出せなかったり、知っている単語が特定のジャンルに偏っていたりします。
私も受験勉強が終わってから英語をほとんど使わなかったので、「あれ、この単語どういう意味だったっけ?」と何度も立ち止まりました。結局、高校までに覚えた単語の多くは“使える形”では残っていなかったのです。
音声を聞いても単語が聞き取れない
知っているはずの単語が、音声ではまったく聞き取れないことがあります。
これは、英語では単語同士がつながったり(例:”next day” → 「ネクスデイ」のようにtとdがつながる)、音が弱くなったり(弱く発音される部分を弱形といいます)するためです。その結果、文字で見ればわかる単語も、耳では別の音に聞こえてしまいます。
私も最初は「知ってる単語のはずなのに!」と悔しい思いをしました。スクリプト(音声の文字起こし)を見ながら聞く練習をして、文字と音を頭の中でつなげるようにしたら、少しずつ聞き取れるようになっていきました。
長文を最後まで読む前に時間切れになる
TOEICのリーディングパートは、問題数が多く時間も限られています。
英文を読むスピードが遅いと、最後までたどり着く前に時間がなくなってしまいます。私も最初の頃は、1つの文を理解するのに時間がかかり、最後のほうはまったく手を付けられませんでした。
解決のためには、英語を前から順番に理解する読み方を身につけることが大事です。さらに、先に設問を読んで「本文で何を探すのか」を決めてから読むと、時間を大幅に節約できます。
設問形式を理解していない
TOEICには、パートごとに決まった出題形式があります。たとえば、Part1は写真を見て答える問題、Part2は短い質問に答える問題、Part3と4は会話や説明文の内容を問う問題、Part5は短文穴埋め、Part6は長文穴埋め、Part7は読解問題です。形式を知らないまま挑むと、解き方を考える前に時間がどんどん減ってしまいます。
私も初めて模試を解いたとき、「このパートってどう答えるんだっけ?」と悩んでいるうちに時間がなくなりました。そこで、最初に各パートの形式と頻出パターンだけをまとめて覚え、同じ形式の問題を続けて解く練習をしたら、本番での混乱がかなり減りました。
300点台を抜け出すコツは5分野のバランス学習
英語は1つの勉強だけではなかなか伸びません。文法・単語・リスニング・リーディング・模試、それぞれに役割があって、全部そろって力になります。
TOEIC300点台の人がスコアを伸ばすには、文法・単語・リスニング・リーディング・模試の5つをまんべんなく進めることがポイントです。役割と学び方のイメージを、以下のカードで確認してみましょう。
文法
「be動詞」「三単現のs」など中学レベルからやり直し。英語の文がどう成り立つかを感覚でつかむことが第一歩。
単語
日常生活で出てくる「ご飯」「買う」「行く」などを、英語で言えるようにしていく。身近な語彙を口に出す練習が◎。
リスニング
最初は意味が分からなくてもOK。聞き流しやシャドーイングで耳に英語のリズムや音を慣らすことから始めよう。
リーディング
「好きなものを英語で読む」が正解。小学生向けの絵本やマンガでもいいので、意味が取れる英文に触れる時間を。
模試
“こんな問題が出るんだ”と雰囲気を知る目的でOK。本番形式でなくてもいいので、形式と時間感覚に慣れるだけで◎。
文法|ルールを理解して土台を作る
英語の文はルール(文法)に沿ってできています。「be動詞」や「三単現のs」など、中学レベルの基本からやり直すことで、文の骨組みがわかりやすくなります。
ここでは、1文法を1ページで丁寧に解説してくれる『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。改訂版』がおすすめです。図解や日本語解説が豊富で、長く英語から離れていた人でも安心して取り組めます。


筆者もこの文法書を使って復習しましたが、「なんとなく」で曖昧にしていた部分が、スッと理解できる感覚がありました。
同じく英文法の入門書として人気なのが『Mr. Evineの中学英文法を修了するドリル』です。
上記の『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく』とどちらか一方で十分ですが、ドリル形式で手を動かしながら覚えるのが好きな人はこちらがおすすめ。演習を通じて理解を深められ、解いた瞬間に間違いを確認できるため、定着が早いのが長所です。

単語|よく使う言葉から覚える
まずは「行く」「買う」「食べる」など日常的によく使う単語から覚えると効果的です。耳から覚えられる音声付き教材なら、リスニングにもつながります。
TOEIC初心者向けには『キクタンTOEIC(R) L&Rテスト SCORE 500』が最適。テンポよく聞いて覚えるスタイルで、通勤・通学や家事の合間にも続けやすいです。さらに、TOEICに向いた英単語帳の中でも初心者が無理なく始められるやさしいレベルなので、最初の1冊としても安心して選べます。

>> 【音声DL付】キクタンTOEIC(R) L&Rテスト SCORE 500
リスニング|耳を英語に慣らす
最初は意味が全部わからなくてもOK。聞き流しやシャドーイング(音を真似して発音する練習)で、英語のリズムや音のつながりに慣れていきましょう。
TOEICの全パートの特徴をつかむには『はじめて受けるTOEIC(R) L&Rテスト 全パート完全攻略』がおすすめです。サンプル音声と解説で、Part1〜4の設問形式に慣れられます。

>> はじめて受けるTOEIC(R) L&Rテスト 全パート完全攻略

はじめは教材の内容をちゃんと聞き取れなくても全然大丈夫。私も今ですら全部聞き取れるわけではありません。それだけTOEICのリスニングは難しく、全部聞き取れる人はほぼ満点レベルのTOEIC猛者だけです。
リーディング|読みやすい英文から始める
英文を読む力は、簡単な文章から少しずつ積み上げるのが近道です。日常生活では意識しないと英文を読む機会はほとんどありませんが、英語を早く読めるようになるには、とにかく英文を読む習慣を作ることが大切です。
ただ、慣れていないうちに難しすぎる文章に挑戦すると、挫折して続かず時間とお金の無駄になってしまいます(筆者は何度もお金と時間を無駄にしました)。
おすすめは『毎日の英速読』シリーズ。1日1題・解説付きで、意味のかたまりごとに区切って読む「スラッシュリーディング」が身につきます。


>> 毎日の英速読 頭の中に「英文読解の回路」をつくる (「毎日」シリーズ)
模試|形式と時間配分に慣れる
模試は実力を測るだけでなく、「どんな問題が出るのか」を知ることにも役立ちます。TOEICをあまり受けたことがない初心者のうちは、まだ問題形式が体に染みついていないため、パート1・2だけなど短時間で試しながら、時間感覚や設問形式に慣れていくのが効果的です。
初心者には『はじめて受けるTOEIC(R) L&Rテスト 全パート完全攻略』の模試パートがちょうど良く、さらにリスニング教材としても活用できるので一石二鳥です。
400・500点台を狙う!週12時間のメリハリ学習プラン
TOEIC300点台から抜け出すためには、「毎日少しずつ積み上げる時間」と「まとまった時間で集中的に取り組む時間」の両方が必要です。
ここでは週10〜15時間の学習を目安に、平日と土日で役割を分けた学習プランをご紹介します。これを3か月続ければ、英語の基礎力がしっかり固まり、400点台〜それ以上のスコアも狙える状態になります。
平日の学習プラン(1日1時間20分)


平日は文法30分・単語20分・リスニング15分・リーディング15分が目安です。
一見、1時間20分は長く感じるかもしれませんが、通勤や通学の電車内、昼休み、家事の合間などスキマ時間を組み合わせれば負担なく達成できます。
文法(30分)
平日は1日1単元ずつ進めるイメージで。説明を読んだらすぐに例文で確認し、理解を定着させます。
単語(20分)
その日に覚える新出語を集中して学習。音声を使って耳と口もセットで鍛えるのがポイントです。
リスニング(15分)
Part2・Part3・Part4のどれかのスクリプトを使った精聴。聞き取れなかった部分を何度も確認して耳を慣らします。
リーディング(15分)
1つのテーマの文章をじっくり精読。語彙や文構造を確認しながら理解度を高め、急がず確実に読み進めます。
土曜日の学習プラン(2時間45分)


土曜日は文法60分・単語60分・リスニング45分。平日よりもまとまった時間が取れるので、復習と深掘りに使います。
リスニング(45分)
Part3〜4を中心にシャドーイング(音声を真似して発音)します。文章全体の流れを意識して練習することで、聞き取り力と発音が同時に伸びます。
文法(60分)
平日で学んだ範囲を総復習し、間違えやすいポイントや覚えきれていない部分を重点的に確認します。
単語(60分)
1週間分の単語をまとめて復習。例文や音声を使い、意味だけでなく使い方まで押さえます。
日曜日の学習プラン(約2時間)


日曜日はリーディング45分・単語20分・模試60分。実践力と総仕上げにあてます。
リーディング(45分)
平日に読んだ英文を再度読み返し、内容理解を深めます。その後、新しい英文1題を精読して読解力を強化します。
単語(20分)
新規で10〜15語を覚えます。これにより翌週の学習にも勢いがつきます。
模試(60分)
ハーフ模試(本試験の半分の分量)を解き、時間配分や解答のリズムを身につけます。結果を振り返って課題を明確にしましょう。
続けるための学習のコツ
学習は「正しいやり方」だけでなく、「続けられる工夫」が成功のカギです。特にTOEIC300点台からのスタートでは、毎日の積み重ねが一番の武器になります。
小さな達成感を感じる
「昨日より単語が1つ多く覚えられた」「Part3の会話が半分聞き取れた」など、自分の進歩を見つける習慣が続ける原動力になります。
時間を細切れに使う
1時間20分を一気に取らなくてもOKです。通勤・通学の電車内や昼休み、寝る前など、5〜15分のスキマ時間をかき集めれば十分こなせます。
やる順番を決める
今日は何をするか迷うと、そのままやらずに終わってしまいがち。曜日ごとのタスクや順番をあらかじめ決めておくと、迷いなく取りかかれます。
3か月後に見える変化
この学習プランを3か月続けると、英語の基礎力に大きな変化が表れます。
- 文法の型が身につく
問題文を見た瞬間に、どの文法が使われているかが自然と分かるようになります。 - 語彙が定着して読むスピードが上がる
知っている単語が増えると、読解で立ち止まる回数が減り、理解のスピードが上がります。 - リスニングの聞き取り精度が上がる
音のつながりや省略に慣れ、会話の大枠をつかむのが楽になります。 - 模試で時間配分の感覚がつかめる
ハーフ模試の練習により、本番でも時間切れの不安が減ります。



最初は「続けられるかな」と不安になるかもしれませんが、3か月後の自分を想像してみてください。知らなかった単語や聞き取れなかったフレーズが自然に理解できる瞬間が必ず来ます。
まとめ:TOEIC初心者がやるべき勉強法とおすすめ教材
分野 | 勉強法 | おすすめ教材 | |
---|---|---|---|
文法 | 中学レベルの文法を一通り復習し、英語のベースを作る | ![]() ![]() | 中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。 |
![]() ![]() | Mr. Evineの中学英文法を修了するドリル | ||
単語 | 基礎〜初中級レベルの語彙を集中習得し、リスニング・読解の土台を作る | ![]() ![]() | キクタンTOEIC(R) L&Rテスト SCORE 500 |
リスニング | Part2〜4を精聴・シャドーイングして聞き取り精度を上げる | ![]() ![]() | はじめて受けるTOEIC(R) L&Rテスト 全パート完全攻略 |
リーディング | 英文を前から読む感覚を身につけ、読むスピードと理解度を上げる | ![]() ![]() | 毎日の英速読 頭の中に「英文読解の回路」をつくる |
模試 | 時間配分や本番形式に慣れ、弱点を把握する | ![]() ![]() | はじめて受けるTOEIC(R) L&Rテスト 全パート完全攻略 |
TOEIC300点台からスコアアップを目指すには、文法・単語・リスニング・リーディング・模試という5分野をバランスよく学ぶことが大切です。
今回紹介した平日・土日の学習プランを3か月続ければ、400点台〜それ以上も十分狙える基礎力が身につきます。
学習のポイントは、
- 毎日短時間でもいいので継続すること
- 学習順序や内容を固定して迷わず始められるようにすること
- 小さな成長を感じてモチベーションを維持すること
これらを意識すれば、「気がついたら英語が聞き取れる・読める」という変化を実感できるはずです。
400点台に到達したら、次は600点・800点とステップアップのステージが待っています。基礎力をつけた今だからこそ、高得点に必要なスピードや応用力のトレーニングに取り組む準備が整っています。
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